のっと ばっど らいふ

「最高」を目指すのをやめたら、「悪くない」毎日が待っていた。

やっぱり「今」を、生きよう。

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スマホを見ても、テレビをつけても、大雨の被害拡大の情報からは逃れられない。目を背けようとしても、背けられない。けど、それでいいのだと思う。

 

奪われた命、残された人々のやるせなさ。救助や支援に尽力する人々への敬意。そして、どこか冷静な自分への絶望。

 

そんな色んな感情に押しつぶされそうになりながらも、私は職場へと向かった。

 


全てを猛暑のせいにしてしまいたくなるほど、身体も頭も重かった。重い足を引きずりながら階段を上がる。LEDがいつもより眩しく感じる。

 

けど、いつもと変わらない光景がそこにはあった。

 

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慌ただしく走り回る先生たち。
その先生に声をかけては楽しそうに笑う生徒たち。

 

いつもと、何1つ変わらない光景がそこにはあった。私も、いつものように授業の準備を始める。何も変わらない。

 


一生懸命、授業を聞いてくれる生徒。
宿題のプリントを提出しに来てくれた生徒。
模試の結果について相談しに来てくれた生徒。
単語学習の進捗を教えに来てくれた生徒。
夏期講習について質問に来てくれた生徒。

 

 

そうやって、私を必要としてくれる生徒たちがそこにはいた。


それで十分。これほど恵まれていることはない。

 

小さなことかもしれない。私でなくてもいいのかもしれない。
けど、それでも私はあの子たちが少しでも笑顔で、1度でも多く自分に自信を感じられるように。共に過ごした時間が、あの子たちがこの先生きていく予測不可能な未来で、少しでもパワーへと変わるように。

 


そのために「今」を、生きていこうと思った。

 

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「今」に感謝できる場所がある。そして、それを返す場所がある。
そんな私は本当に幸せだと、心から思う。

 

平成最後の夏。今ここでこうして生きていることが全て。

今年もまた、夏が始まる。